東濃の暮らし

日本一暑い町の外まわり

真夏の木陰がつくる涼しいテラス(イメージ)

多治見と聞いて、暑さを思い浮かべる人は多いと思います。2007年の夏、多治見市は当時の国内最高気温、40.9℃を記録しました。「日本一暑い町」という言葉が全国に広まったのは、あの夏からです。

盆地特有の熱がこもりやすい地形に、夏の強い日射しが重なる。この土地で家の外まわりを考えるなら、暑さは飾りの話ではなく、実務の話になります。ここでは、多治見をはじめ東濃の夏に向き合ってきた外構の視点から、暑さと上手に付き合うための外まわりの工夫を見ていきます。

真夏の強い日ざしを受ける住まいの外まわり(イメージ)

暑さは、上からと下から来る

夏の外まわりが暑くなる理由は、大きく二つあります。一つは空から降る直射日光。もう一つが、地面や壁が受けた熱を跳ね返す「照り返し」です。

見落とされがちなのが、この照り返しのほう。真夏、駐車場のコンクリートやタイルの上に立つと、足元からむわっと熱が上がってくる。あれは、日中にためこんだ熱を、地面が夕方まで放し続けているからです。外まわりの暑さ対策は、上からの日射しをどうさえぎるかと、下からの照り返しをどう抑えるか。この両方から考えると、対策が組み立てやすくなります。

日射しを、さえぎりながら風を通す

まず、上からの日射しへの備え。カーポートや軒、パーゴラ(つる棚)、目隠しの壁。これらは日陰をつくる一方で、使い方を誤ると熱を閉じ込めてしまう道具でもあります。

ひとつ心にとめておきたいのは、さえぎることと、風を通すことを両立させるという考え方です。

たとえばカーポートの屋根材。日射しを強くカットする濃い色の材は、車内や地面の温度を下げてくれますが、四方をぴったり囲ってしまうと、こもった熱の逃げ場がなくなります。屋根で日をさえぎりつつ、横は開けて風の通り道を残す。この抜けをつくることが、盆地の夏ではとくに効いてきます。

目隠しのフェンスや壁も同じです。視線は隠したいけれど、板と板をすき間なく張ると、風まで止めてしまう。少しすき間をあけた「通風タイプ」の目隠しなら、視線はさえぎりながら、夏の夕風は抜けていきます。閉じきらないこと。これが、東濃の夏をすごしやすくする小さなコツのように思います。

風を通すルーバーの目隠しと植栽の緑(イメージ)

照り返しは、どうやって防ぐ?

下からの照り返しは、足元の素材の選び方と組み合わせ方で、ずいぶん和らげられます。

コンクリートやタイルは、丈夫で掃除もしやすい優れた素材ですが、日中に熱をためこみ、その熱を長く放し続ける性質があります。広い面積をすべて硬い床で仕上げると、夏の庭は熱の反射板のようになりかねません。

そこで効いてくるのが、素材の組み合わせです。

砂利は、コンクリートに比べて熱のたまり方がやわらかく、すき間から地面が呼吸するぶん、照り返しもいくらか和らぎます。歩く場所や車を置く場所はしっかり舗装し、その周りは砂利や植栽でゆるめる。硬い床の面積を、必要な分にとどめる。この配分が、夏の足元の温度を左右します。

色も無視できません。同じ素材でも、白っぽく明るい色は日射しを跳ね返し、黒っぽい色は熱を吸い込みます。まぶしさとのバランスはありますが、熱をためたくない広い床には、明るめの色が一つの手です。

緑は、いちばん古い日よけ

そして、いちばん昔からある暑さ対策が、木です。

夏に葉を茂らせ、冬に葉を落とす「落葉樹」を、家の南や西に一本植える。すると、夏は葉が日射しをさえぎって涼しい日陰をつくり、冬は葉が落ちて日ざしを室内に通してくれます。季節に合わせて働く、生きた日よけです。

落葉樹がつくる涼しい木陰(イメージ)

木の下の地面が、コンクリートの上よりずっと涼しいのは、日陰になるだけでなく、葉から水分が蒸発するときに周りの熱をうばうからです。西日の当たる壁ぎわに背の高い木を一本置くだけでも、夕方の室内の暑さが変わってきます。

もちろん、この土地の夏は木にとっても厳しい季節です。乾きに強い種類を選ぶこと、根が育つまでの水やりを欠かさないこと。植えて終わりではなく、育てていくつもりで選んであげると、暑い町でも木はしっかり根づいてくれます。

打ち水という、昔ながらの知恵

最後に、道具の要らない工夫を一つ。打ち水です。

夕方、日が傾いてから、玄関先や庭に水をまく。まいた水が蒸発するときに地面の熱をうばい、あたりの空気をいくらか下げてくれます。昼の暑い盛りにまくと、すぐ蒸発してかえって蒸すので、日が陰りはじめた頃合いにまくのが、昔から伝わるやり方です。

打ち水をした石畳の路地(イメージ)

大がかりな設備ではありませんが、熱をためにくい素材の床や、風の通る目隠しと組み合わせると、夏の夕暮れの過ごしやすさが、ひと呼吸ぶん変わります。

日本一暑い町、という看板は、この土地に暮らす人にとっては毎年の現実です。けれど、日射しをさえぎり、風を通し、地面と緑で熱をなだめる。その一つひとつを外まわりに仕込んでおけば、夏は、耐えるだけの季節ではなくなります。

よくある質問

外構でできる暑さ対策には、どんなものがありますか?

大きく分けて、上からの日射しをさえぎることと、下からの照り返しを抑えることの二つがあります。カーポートや軒、パーゴラ、そして夏に葉を茂らせる落葉樹は、日陰をつくってくれます。足元は硬い床の面積を必要な分にとどめ、砂利や植栽をまぜると照り返しがやわらぎます。夕方の打ち水を組み合わせると、過ごしやすさがひと呼吸ぶん変わります。

照り返しは、どうすれば抑えられますか?

地面の素材と色で、ずいぶん変わってきます。コンクリートやタイルは丈夫で掃除もしやすい一方、日中の熱を長くためこみます。歩く場所や車を置く場所はしっかり舗装し、その周りは砂利や植栽でゆるめて、硬い床を広げすぎないこと。熱をためたくない広い床には、白っぽく明るめの色も一つの手だと思います。

目隠しのフェンスで、風は通せますか?

板と板をすき間なく張ると視線は隠れますが、風まで止まってしまいます。少しすき間をあけた「通風タイプ」の目隠しなら、視線はさえぎりながら、夏の夕風は抜けていきます。盆地の夏は、閉じきらないことがすごしやすさにつながるように思います。